電動シリンダー(アクチュエーター)のオーバーホール事例

今回のブログでは、精密機械や自動化装置に多く採用されている電動シリンダー(アクチュエーター)のオーバーホール事例をご紹介します。

電動シリンダーは、高精度な位置決めやエネルギー効率の高さ、メンテナンスの容易さなど、多くの利点を持ち、製造業やロボット工学の分野で広く使用されています。こうした利点を最大限に引き出し、機器の寿命を延ばすためには、定期的なオーバーホールが不可欠です。

本事例では、長年稼働していた電動シリンダーをオーバーホールすることで、動作性能の回復とさらなる長寿命化を実現したプロセスについて詳しく解説します。具体的な作業内容やポイントを押さえながら、どのようにして電動シリンダーの性能を復元したのかをご紹介します。


電動シリンダーのオーバーホール
分解前の状態
分解前の電動シリンダーの写真です。長年の使用による摩耗が外観からも確認でき、特にジャバラ部分には明らかな破れが見られます。これらの外観的な損傷に加え、動作不良の原因を特定するために、内部構造を詳しく調査しながら分解作業を進めることにしました。
分解
まずはシリンダーカラーの取り外し作業から開始します。この段階で、カラー、ネジ軸、ナット、コイルバネ、内部ギヤ、モーターギヤなど、各部品の状態を一つ一つ丁寧に確認していきます。それぞれの部品がどのように摩耗しているかをチェックし、問題の原因を特定するための重要な工程です。
点検・確認
リミットスイッチ(リミットSW)の通電確認では問題は見られませんでしたが、内部パッキンの劣化が確認されました。予防保全の観点から、このパッキンの交換をお客様に提案しました。トラブルを防ぐための重要な措置です。
動作不良の原因の推定、交換部品の準備
ネジ軸とナットのネジ山が摩耗しており、ネジ送りが正常に行えない状態であることが確認されました。さらに、ネジとナットが噛み合った状態でも、軸方向に引っ張ると簡単に外れてしまう状況でした。
今回の動作不良の主な原因は、このネジとナットの摩耗と推定されます。そこで、これらの部品を新品に交換することとしました。
組み立て、動作確認
内部のギヤ、モーター、連結ギヤなどに異常は見られなかったため、これらの部品はそのまま再利用しました。
各部品を適切に手入れした後、組み立てを行い、動作確認も問題なく完了しました。その後、無事にお客様へ納品いたしました。
千代田商事は、豊富な経験と実績をもとに、油圧シリンダー、空圧シリンダー、電動シリンダーの補修やメンテナンスに対応しています。
点検から部品交換、オーバーホールまで幅広く対応し、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提供しています。
シリンダーに関するお困りごとがございましたら、ぜひ千代田商事にご相談ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。