【海外視察】世界最大の金属展示会(METEC)2019

2019年6月25日(火)~29日(土)にドイツ・デュッセルドルフで開催された世界最大規模の展示会METEC 2019に参加しました。
千代田商事の主要事業の一つである「世界の先端技術・優良商品の発掘」。この事業方針に沿って、日本にも導入できそうな技術や製品を調査してきました。合わせて、ドイツ政府が推進しているIndustry 4.0の現状と関連製品の視察もしてきました。

今回のブログでは、METEC 2019の概要と調査内容を簡潔にご報告します。



この記事の目次

METECとは?
METECとは、4年に一度開催されている世界最大の金属製造、加工技術専門の見本市です。
出展企業の多くは、グローバル規模の大企業。開催国のドイツに加えて、アメリカ、イタリア、中国、インドなどから出展していました。出展総数は、2,000社を超えるそうです。

展示内容も多様でした。METEC(鉄鋼・非鉄鋼製造設備)、GIFA(製鉄設備・関連装置)、Theremoprocess(工業炉や熱応用技術)、Newcast(鋳鉄物)の他に、Industry 4.0関連の展示物も多数ありました。
これだけ多くの企業が出展しているため、展示会場もとても巨大です。17以上のホールに分かれて開催され、展示会場内の端から端まで歩いて移動すると、30分以上かかりました。

Industry 4.0とは?
Industry 4.0とは、製造業におけるオートメーション化およびデータ化・コンピュータ化を目指す昨今の技術的コンセプトに付けられた名称です。2011年頃から、ドイツ政府がこれらの技術推進に取組んでいます。
私の個人的な感覚になりますが、ここ4年ほどでIndustry 4.0の成長速度が加速していると思います。
目立っている技術は、工場の自動化、スマート化、Predictive maintenance(予防保全), AI, ビッグデータ活用, デジタル化、 Digital twin(digitalとvirtualの融合)技術などです。
世界の工場を見渡すと、これらの技術を実際に導入した事例が多数存在します。昨年、千代田商事のスタッフが視察したSAP社もその一例です。(視察内容はこちらをご覧ください
技術大国ドイツ政府が推進しているだけあって、Industry 4.0 が主流になるのも遠くないと感じています。

世界中の企業と人が集結!
METEC出展企業2,000社のうち、約半数の1,000社は欧州企業。その他の1,000社のうち中国企業が半数近くを占めていました。
中国の製造業の力強さを間近で見ることができました。

全体の来場者数は約72,500人。そのうち約66%は、海外(中国、インド、イタリア、トルコ、日本、フランス、ロシアの順)からの来場者です。
世界最大の金属製造、加工技術専門の見本市だけのことはあり、世界中から関係者がここに集まっているように感じられました。

展示会に行く前の調査が重要
東京ビックサイトの3~4倍程の大きさに、2,000社を超える出展企業。(ちなみに、東京ビックサイトで開催されている金属展示会の出展企業数は1,000~1,200社程度。)
 お目当ての企業の出展ブースにたどり着くまでに、30分以上かかることもありました。さらに、ブース内がカフェになっていたり展示品がなかったりと、事業内容が分かりづらいこともありました。
展示会に行く前には、お目当ての企業を絞り込むこととその企業の出展ブースの位置を調査しておくことが大事だと、痛感しました。

行ってみて初めてわかった事
海外の展示会では、出展企業の目的に2つのパターンがある事がわかりました。
1つは、展示しながら集客に取り組む企業。
もう1つは、特定のお客様(取引先など)のために出展している企業です。こちらの出展ブースでは、ビールを飲みながら談笑(商談?)していました。
こういうケースを日本の展示会で見かけることはありません!

気になった企業
Kurtz ersa

Kurtz ersaは、溶解炉のメーカーです。
クラウド接続の計測装置を溶解炉に設置し、設備の稼働・生産状況を記録・データー化しています。ユーザーは、生産計画の見直しなどにこれらのデーターを活用できます。
また、これらのデーターを活用して、予防保全(predictive maintenance)に役立てているユーザーもいるそうです。さらに、各設備のセンサーが異常を感知すると、クラウド経由でユーザーとメーカーに通知されるシステムも付加されていました。 Kurtz ersaではこれらを製品化するために、1999年から研究を重ねていたそうです。

ABP

ABPは、鋳造設備のメーカーです。
ユーザーが鋳造設備の危険を体感できる講習などを、VR技術を使って提供していました。また、設備にトラブルが発生した際にクラウド経由でユーザーとメーカーに通知されるシステムと遠隔支援でユーザーをサポートする仕組みも開発していました。
お客様満足度向上を目指すために、製品そのものの開発競争に加えて、IT技術を取入れたサービスにも注力していました。

終わりに
ドイツ・デュッセルドルフのMETECは4年に一度開催されますが、METEC 2020 INDIAのポスターを発見しました。来年の2020年には、インドでMETEC 2020が開催されるようです。
今回のMETEC 2019でもインド企業の多かったように感じます。来年のMETEC 2020 INDIAにも参加して、技術の進歩を感じてきたいと思います。
それではTschuss!!(チュース) (*ドイツ語で「さよなら」の意味。)