たたら製鉄のたたら吹きを体験。-田部家のたたら吹き-

千代田商事の齊藤です。
いつも私たちのブログをご覧いただきありがとうございます。 突然ですが、皆さまは「たたら製鉄」をご存じでしょうか?

「たたら製鉄」は、その最盛期には、日本の鉄生産のほぼすべてを占めていたと考えられており、その中でも奥出雲地方が大きな役割を担っていたと言われています。また、現代の高度な技術をもってしても再現が難しい唯一無二の「和鋼」を生み出していたことで知られています。

室町時代から大正時代までの長きにわたり、島根県でたたら製鉄を家業としていた田部(たなべ)家。その栄華の歴史には、日本の製鉄史が凝縮されているとも言われます。 しかし、近代製鉄の普及に伴い、たたら製鉄は一時途絶えてしまいました。それでも100年ぶりに「たたら吹き」を復興し、現代に合った新しい価値を創造する取り組みが行われています。長い年月を経てなお受け継がれてきた技術と、その技術を次代へつなごうとする想いには、学ぶべき点が多くあります。

「田部家のたたら吹き」に参加してきました
私たちは、春・秋に一般公開される「田部家のたたら吹き」を見学・体験する機会を得ました。この催しは、日本が誇るべきたたら文化の継承や人材育成、地域づくりを目指す「たたらの里づくりプロジェクト」の一環として行われています。

たたら吹き体験記
10kgの木炭を4分割し、手箕で頭上から一気に投入する様子は迫力があり、歩留向上を狙った炭種変更の工夫も印象的でした。
4〜16kgの砂鉄を鋤で4分割投入する際、少しずつ均等に炉へ加える操作が想像以上に難しく、工程の繊細さを痛感しました。
投入した木炭や砂鉄の混合物が空気口を塞がないよう、羽口の詰まりを棒で突いて清掃しました。
炉に空気を送り込む羽口
木炭投入や砂鉄投入、羽口清掃、ノロ出しなど本来は三日三晩かけて繰り返す工程を体験用に短縮し、今回のコースでは一晩で「鉧(けら)」を取り出しました。

「鉧(けら)」を取り出す
「鉧(けら)」
たたら吹きを体験し、伝統を守りながら新しい価値を生み出そうとする情熱を強く感じました。
さらに、この体験を主催している、株式会社たなべたたらの里の皆様の姿勢や取り組みにも感銘を受けました。

私たち千代田商事は、ものづくり産業が抱える課題を解決することで、新しい価値を創造し続けたいと考えています。出雲大社のご神火のように想いを絶やさず、未来を担う世代へつないでいくこと――これこそが当社の責任と感じています。
たたら製鉄の歴史や田部家の挑戦に触れたことで、改めて「挑戦し続ける意義」を実感することができました。今後も私たち自身が学び、行動することで、産業界のさらなる発展と価値創出に貢献してまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。